新基準原付ってなに? 原付免許で乗れる125ccの“正体”を30分で全部整理した

カブ・小排気量
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最近「125ccが原付免許で乗れるようになった」という話、聞いたことありませんか。ニュースでもよく見るし、街でも見慣れない原付っぽいバイクが少しずつ増えてきました。

ただ、これ正確に言うとちょっと違っていて、「125ccなら何でもOK」ではないんです。条件を満たした特定のバイクだけが対象で、しかも今のところ乗れる実車はかなり限られています。

この記事では、新基準原付って結局なんなのか・何が変わって・いくらかかるのかを、30分で全部整理します。

旧制度と新基準、何が違う?(まず差分だけ)

ややこしい話を抜きにして、変わった点・変わらない点を表でまとめます。

項目従来の原付一種(〜50cc)新基準原付
排気量50cc以下50cc超〜125cc以下
最高出力おおむね3.7〜4.5PS(4スト・例:カブ50=3.7PS/ジョルノ=4.5PS)4.0kW(5.4PS)以下に制御
必要な免許原付免許原付免許(同じ)
最高速度30km/h30km/h(同じ)
二段階右折必要必要(同じ)
二人乗り不可不可(同じ)
軽自動車税年2,000円年2,000円(同じ)

見てもらうと分かる通り、変わったのは「中身(排気量と出力の枠)」だけ。免許・交通ルール・税金は、従来の原付一種とまったく同じです。

つまり、いちばん正確に言うと「排気量だけ見れば原付二種と同じクラス(110〜125cc)だけど、出力を従来の50cc原付に近い水準まで絞って原付一種にしたバイクに、原付免許のまま乗れる」ということです。エンジンや車体のクラスは上がっても、出せる出力も、走り方のルール(30km/h・二段階右折など)も従来の原付のまま——「排気量が増えた=パワフルになって自由に走れる」わけではない、というのがいちばん誤解されやすいポイントです。

「普通免許で125ccが乗れる」わけではない(いちばん多い勘違い)

この制度でいちばん多い勘違いが、「普通免許(クルマの免許)で125ccのバイクに乗れるようになった」というもの。これは半分だけ正しくて、半分は間違っています。

正しくは、普通免許で乗れるのは“新基準原付”だけです。つまり「125ccまでのエンジンを4.0kW以下に制御した、原付一種に区分される特定のモデル」に限られます。さきほど名前を出した Honda Lite シリーズのようなバイクですね。

一方で、PCX125やリード125のような出力をフルに出せる普通の125cc(原付二種)は、これまで通り普通免許では乗れません。原付二種に乗るには、最低でも「小型限定普通二輪免許」が必要です。ここは制度が変わっても変わっていません。

乗りたいバイク区分必要な免許
従来の原付(〜50cc)原付一種原付免許/普通免許
新基準原付(4.0kW以下に制御)原付一種原付免許/普通免許
普通の125cc(PCX125 等)原付二種小型限定普通二輪免許 以上

要するに、乗れるかどうかは「125ccという排気量」で決まるのではなく、「4.0kW以下に制御されて原付一種に区分されているか」で決まる、ということです。「125ccが普通免許で解禁された」と聞いて普通の原付二種を買いに行くと話が食い違うので、ここは正確に押さえておきたいところです。

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「『125ccが全部OKになった』と思ってる人、まわりにもけっこういます。気持ちはわかるんですけどね」

なんで“4.0kW”にわざわざ制御するの?

ここがこの制度のキモなので、もう少し踏み込みます。

きっかけは排ガス規制です。2025年11月から新しい排出ガス規制が始まり、従来の50ccエンジンはこの基準をクリアするのが難しくなりました。その結果、50ccモデルは2025年10月末で生産終了という流れになっていきます。要するに「50ccという枠そのものが、これから消えていく」わけです。

とはいえ、原付一種という“いちばん手軽に乗れる枠”がなくなると困る人がたくさんいます。そこで国は、2025年4月1日施行の法改正で、「125ccまでのエンジンを、最高出力4.0kW以下に制御したもの」を原付一種に追加しました。これが新基準原付です。

ポイントは「4.0kW以下に制御」という部分。エンジン自体は125ccベースでも、ECU(スロットルや燃料の電子制御)で出力に蓋をして、原付一種の性能の枠内に収めています。なぜ4.0kWなのかというと、従来の50cc原付の出力水準に近いところに合わせて、原付一種としての速度域を保つためです。

だから走りの印象としては「50ccよりはトルクや余裕がある」一方で、ルール上は30km/h制限・二段階右折の原付のまま。速さを期待して買うものではない、というのは最初に押さえておきたいポイントです。

具体的にどれくらい絞られているのか、同じエンジンで比べると分かりやすいです。たとえば普通のスーパーカブ110(原付二種・JA59)は109ccで最高出力8.0PS(5.9kW)。これに対して新基準原付のスーパーカブ110 Liteは、ほぼ同じ109ccのエンジンながら4.8PS(3.5kW)まで落とされています。排気量は同じなのに、出力だけ電子制御で約4割カットされている——これが「出力制御」の中身です。

ついでに調べてみると、ちょっと面白い事実がありました。かつて2スト全盛期に人気だったホンダの「ライブDio ZX」は、50ccながら最高出力7.2PS。今回の新基準原付「Dio110 Lite」は110ccで5.0PSなので、同じ「Dio」の名前を継いだ新型が、排気量2倍以上なのに、30年前の50ccより馬力は控えめ、ということになります。新基準原付がいかにおとなしい性格に振られているか、よく分かる比較だと思います。

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「同じ“Dio”なのに、昔の50ccより馬力は下。ちょっと笑っちゃいました」

実車は今のところ“Honda Lite シリーズ”だけ

ここがいちばん勘違いされやすいところです。

「じゃあ、今持っているPCX125やリード125も原付免許で乗れるの?」と思った人——残念ながらNOです。あれらは最高出力が4.0kWを大きく超える原付二種で、新基準原付ではありません。既存の125ccが“格下げ”で原付免許OKになったわけではないんです。

新基準原付は、最初から4.0kW以下に制御して作られた専用モデルを指します。2025年内に登場した実車は、今のところホンダの「Honda Lite」シリーズ4機種だけです。

モデル最高出力価格(税込)発売
Dio110 Lite3.7kW(5.0PS)239,800円2025年11月20日
スーパーカブ110 Lite3.5kW(4.8PS)341,000円2025年12月11日
スーパーカブ110 プロ Lite3.5kW385,000円2025年12月11日
クロスカブ110 Lite3.5kW(4.8PS)401,500円2025年12月11日

街で見かける新基準原付がほぼDio110 Liteなのには理由があって、価格が239,800円と頭ひとつ安いからです。カブ系は341,000円〜なので、「とりあえず原付免許で乗れる新型が欲しい」という人の最初の1台にはDioが選ばれやすい、という構図になっています。

整理すると、新基準原付は「既販の125ccが格上げされた」のではなく、「メーカーが原付免許専用の新型を作ってきた」というのが実態です。だから今のところ選択肢はかなり限られていて、これから他メーカーがどう動くかが見どころになります。

Dio110 Lite | Honda公式サイト
Hondaの新基準原付「Dio(ディオ)110Lite」の公式情報ページです。

原付二種とは「乗り方」が根本的に違う — 速度・二段階右折・二人乗り

ここまで「新基準原付は原付一種」と何度か書いてきましたが、これは見た目以上に大きな意味を持ちます。普通の125cc(原付二種)と比べると、走り方のルールそのものが違うんです。実用でいちばん効いてくるのが、次の3つです。

項目原付一種(新基準原付もここ)原付二種(ふつうの125cc)
最高速度30km/h一般道の法定速度(最高60km/h)
二段階右折必要(指定の交差点で)不要
二人乗り不可(1人乗り)可(免許取得から1年以上)

新基準原付は110ccや125ccのエンジンを積んでいても、この左側のルールがすべて当てはまります。幹線道路では30km/hしか出せない、大きな交差点では二段階右折、タンデムもできない——「排気量は二種クラスなのに、乗り方は原付のまま」というのが、いちばん実感する部分かもしれません。この記事の後半で「いっそ免許を取って原付二種に」という選択肢に触れますが、それが現実的に見えてくるのも、まさにこの差があるからです。

なかでも分かりやすいのが二人乗りの可否です。原付二種なら免許取得から1年以上で二人乗りできますが、原付一種は全面的に不可。そしてこの線引きは、実車にもしっかり反映されています。たとえばDio110 Liteは、車体のベースこそ110ccのDio110ですが、後ろに人を乗せるためのタンデムステップが省略されていて、取り外したあとには蓋がされています。「二人乗りできないバイク」だということが、装備のレベルで物理的に作り込まれているわけです。

シートも専用設計で、ベースのDio110より15mm低いシート高745mmのローシートになっています。座面自体は広めでポジションの自由度は高いのですが、これはあくまで1人がゆったり座るための広さで、二人乗り用ではありません(荷物用に、ボックス対応のリアキャリアは標準装備)。

大前提として、原付一種は車体がどうであろうと、法律で二人乗りが禁止されています。だから「110ベースだからタンデムもできそう」と思っても、そもそもルール上できません。そのうえで Dio110 Lite は、新基準原付として作られた時点でタンデムステップ自体が最初から外されている——つまり法律でもハードでも「1人乗り」が徹底されているわけです。原付一種と二種の違いは、こういう細部にもちゃんと出ています。

結局いくらかかる?(免許・税金・保険の実額)

「で、トータルでいくらなの?」という現実的なところを、実額でまとめます。

免許(原付免許をゼロから取る場合)

  • 試験手数料:1,500円
  • 原付講習:4,500円
  • 免許証交付:2,050円
  • 合計:8,050円(+証明写真代700〜1,000円程度)

学科試験に合格して、当日の原付講習を受ければ最短1日で取得できます。なお、普通自動車免許をすでに持っている人は、追加費用ゼロでそのまま新基準原付に乗れます。

車両本体

  • 239,800円(Dio110 Lite)〜 401,500円(クロスカブ110 Lite)

毎年かかるお金

  • 軽自動車税:年2,000円
  • 自賠責保険:2025年度で1年あたり6,910円(複数年でまとめて契約すると、1年あたりはもう少し安くなります)

任意保険

  • 親などの家族が自動車保険に入っていて「ファミリーバイク特約」を付けられるなら、新基準原付もその補償対象になります。単独でバイク保険に入るより手軽で割安になるケースが多いので、まずここを確認するのがおすすめです。

ざっくりした初期費用の目安としては、免許を持っていない状態から始めるなら「免許 約8,800円+車両 約24万円〜+自賠責 6,910円+税 2,000円」あたりがスタートライン、というイメージになります。

で、これ“買い”なの?(Yota の本音)

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「ここからは、ひとりのバイク好きとしての正直な感想です」

調べていていちばん引っかかったのが、原付二種との値段差が思ったより小さいことでした。たとえばDio110 Liteは239,800円ですが、原付二種版のふつうのディオ110も25万円前後。ほとんど変わらないんです。だとすると、わざわざ30km/h制限や二段階右折を背負ったまま乗り続けるより、小型限定二輪なり普通二輪なりの免許を取って原付二種に乗る、というのも十分アリな選択だと思います。とくに通勤メインで距離を踏むなら、なおさらそう感じます。

一方で、たとえば16歳でせっかく原付免許を取って「初めての1台を買う」という立場で見ると、話は変わってきます。新基準原付はまだ出たばかりで中古がほとんど出回っていないので、現実的には当分、中古の50ccクラスが第一候補に入ってくるはずです。新車の50cc原付という価格帯で見れば、新基準原付の24万円〜という値付けは飛び抜けて高いわけではありません。ただ、これまでの50ccの感覚からすると、確実に高くはなった——というのが正直なところです。

スペック面は、出力こそ絞られていますが、車体はベースが原付二種のDio110です。前後14インチの大径ホイールで、50ccスクーターにありがちな小径(10インチ)よりも路面のギャップに強く、乗り味は落ち着いているはずです。「馬力は控えめ、でも足まわりは格上」というバランスですね。

そして身も蓋もない話をすると、これまで50ccしか乗ってこなかった・乗れない人にとっては、そもそも比べる相手がいないので、出力うんぬんは正直そこまで気にするポイントじゃない気がします。原付の枠のなかで、ちょっと余裕のある一台。そう捉えるのが、いちばんしっくりくるんじゃないでしょうか。

最後に、これは完全に個人的な見立てですが——新基準原付って、たぶん電動化までの「繋ぎ」なんじゃないかと思っています。本命はおそらく電動原付。でも電池容量も航続距離も価格も充電環境も、まだ原付の手軽さには届いていません。クルマがハイブリッドという中間解でうまく橋渡しした一方、原付サイズにエンジン・モーター・電池を全部積むのは無理がある。その「中間解が使えなかった分」を既存110の出力制御で埋めにきた——そう見ると、なぜ今わざわざ出力を絞った原付が出てきたのかが腑に落ちます(あくまで自分の想像ですが)。

出典・参考

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