鳴らない時間、配達員はどこにいるのか。閑散期の避難先と、単価が戻らない理由

鳴らない時間、配達員はどこにいるのか。パチンコ屋の駐輪場に並ぶ配達バッグの原付 配達・ビジネスバイク
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鳴らない。クエストは戻ったのに埋まらない。前回の記事で書いた9月中旬の状況はそのままです。で、ふと思ったんです。鳴らない時間、配達員はどこにいるんだろう、と。

答えの一つは、自分の行動範囲ではかなりはっきりしています。パチンコ屋です。駐輪場に、配達バッグを積んだ原付が並んでいる。Xでもそういう写真をよく見かけるし、自分の地元でもよく見る。知り合いの配達員も、かなりの割合で行っています。

この記事は、その「鳴らない時間の避難先」を、X上の配達員の一次報告と自分の周りの観測で並べて、最後にそれが単価に何を意味するかまで書きます。統計ではありません。見えている範囲の話です。

まず「鳴らない」が全国で同時に起きている

前回も書きましたが、9月12日ごろから「急に鳴らなくなった」という投稿が、名古屋・埼玉・横浜・町田と離れた地域から同時に出ています。今回の主題に近いのは、ショートが来ないという話です。

ショートが鳴らないと何が困るか。単価が安くても、短い配達を回数だけこなしてクエストの段階を取る、という逃げ道が使えなくなります。専業で週の上限件数を追いかけている人も、副業で「今日は3件だけ」の人も、件数を積む材料そのものが来ない。安いより、来ないの方が効く。

そしてもう一つ。「じゃあ他社で」も、いまは効きにくい。

「閑散期本番に向けて他社はゴミ化する」。自分の周りでも同じことが起きています。Uberが鳴らないから配達員が出前館に寄る、すると出前館のオファーは金額が上がる前に取られる、ロケットナウも薄くなる。配達員は3社で同じ人たちなので、1社が絞ると全部が薄くなる。逃げ道が全部細い。

で、配達員はどこにいるか:X上の一次報告

最初にXでテキスト検索をかけた時、「鳴らないからパチンコに行った」と正面から書いている投稿は、ほとんど出ませんでした。出てきたのは「地蔵」「早めに帰宅」「切り上げます」という言葉ばかり。

ところが検索の条件を緩めると、出てきます。行動を一文で書く人が少ないだけで、別の投稿や写真には残っている。

福岡。「パチンコ店の駐輪場にUberのランドセルが目立つ」「単価低いから稼ぎに行ってる」。自分の地元で見ている光景と、そのまま同じです。

こちらも福岡。「位置情報でパチ屋ばっかり行ってるのバレてる」。配達員アプリは位置情報を取っているので、どこで待機しているかは向こうにも見えている、という話。返信に「そのうち『職場に到着しました』が出ますね」と付いていて、笑ってしまいました。

「パチスロ−5k、昼の部始動」。負けてから配達に出る。この往復が日常になっている人は、たぶん自分が思っているより多い。

自分の場合:9月14日の一日

隠しても仕方ないので、自分の先日の一日を書きます。

12時半から走り始めて、13時の時点で鳴りが悪く、来るオファーの単価も低い。諦めてパチンコ屋へ。15時半からピークタイムクエストがある日だったので、それに合わせて出直しました。その日のクエストは6件・3件・3件の12件構成。結果は3件でギブアップ。単価が安いのは我慢するとして、ショートが鳴らないので件数が積めない。

ロケットナウは普段は安いんですが、この日は長距離のピックアップが2,100円で飛んできて、その1件で終了。またパチンコ屋に戻って、夕方まで。この日の稼ぎの大半は配達ではなくパチンコでした。

パチンコ屋にいる間も、出前館とUberのアプリはオンにしたままです。打ちながら来るオファーの単価を眺めて、良さそうな流れになったら切り上げて再開する。つまり辞めているのではなく、オンラインのまま待っている。この記事の後半で書く話は、まさにこの状態のことです。

念のため書いておくと、勝つ日もあれば負ける日もあります。稼ぎの手段として勧める話ではなく、鳴らない時間の潰し方がそれになっている、というだけの話です。そしてそれが自分だけではなく、駐輪場を見れば分かる程度には多い。

なぜパチンコ屋なのか:待機所として見ると全部そろっている

パチンコ屋に行く理由を「ギャンブルが好きだから」と読むと、たぶん半分外れます。配達員の目線で見ると、あそこは待機所として必要なものが最低限そろっている場所なんです。

  • 座れる
  • 涼しい(夏)、暖かい(冬)
  • トイレがある
  • スマホが充電できる
  • 駐輪場が広くて、原付を停めて文句を言われない

鳴るまでの時間を外で立って待つのと比べれば、これだけそろっている場所はそう多くありません。コンビニの駐車場は長居しづらいし、ファミレスは金がかかる。そう考えると「鳴らない→パチンコ屋」は、ギャンブルの話というより、配達員向けの待合室が街に他にないという話に近い。行けばついでに打つ、という順番です。

パチンコ屋以外の避難先:マック、駅前、コンビニ、団地

パチンコ屋が全てではないので、他の避難先も同じようにXで調べてみました。配達員の間では、鳴るのを待って動かないことを「地蔵」と呼びます。その「地蔵」の場所です。

いちばん多かったのはマクドナルド。店内で待機して、鳴ったら配達して、また店内に戻る。次いで駅前とコンビニの駐車場。土曜の昼ピークに駅前が「地蔵だらけ」だった、という投稿もありました。

そして場所を選ぶ理由を書いている投稿を見ると、やはり同じ言葉が出てきます。

「涼しいしトイレあるし」。団地の日陰であれ、マックであれ、パチンコ屋であれ、選ばれている条件は同じです。座れて、涼しくて、トイレがあって、できれば充電できる。マックは注文しないと居づらいし、駅前は座れない、コンビニ駐車場は長居しづらい。その条件を金をほとんど使わず全部満たすのがパチンコ屋、というだけの順番です。

ちなみに自分と周りの配達員は、駅前のセブンと公園あたりを地蔵ポイントにしています。地方は注文が中心部に固まっているので、あまり離れない方が効率がいい。パチンコ屋に行くのは、そこからさらに鳴らなくなった時です。

なお公園やネットカフェは、思ったより投稿が出てきませんでした。使っている人はいるはずですが、わざわざ書かないのか、地方と都市部で違うのかは分かりません。

避難先があるうちは、単価は戻らない

ここからが、この記事で一番書きたかったことです。

配達員が減れば、残った配達員に鳴る回数が増えて、単価もいずれ戻る。それが普通の市場の理屈です。ところが「鳴らないからパチンコ屋で待つ」という行動は、辞めずに待つという選択です。オンラインにしたまま、あるいはピークの時間だけ戻ってくる前提で、その場に留まる。つまり供給が減らない。

運営側から見ると、これは都合がいい状態です。単価を絞っても配達員が消えない。ピークタイムクエストを安く戻しても、ピークの時間には人が戻ってくる。前回の記事で書いた「安く戻ったクエスト」と「急に鳴らない」の両方が同時に成り立っているのは、たぶんこの構造のせいです。

逆に言うと、閑散期の底が本当に抜けるのは、避難先で待っていた人たちが待つのをやめた時です。それがいつ来るかは分かりません。冬の繁忙期が先に来て、また鳴り始めて、誰も辞めないまま次の閑散期を迎える。そのループの方が、いまのところありそうに見えています。

分からないこと

  • パチンコ屋に避難している配達員が全体のどれくらいなのか。駐輪場の目視とXの投稿では、割合までは出ません。
  • 「鳴らない」の原因が需要減なのか、配車側の変更なのか。これは前回から変わらず切り分けられていません。
  • 避難している人たちが、実際にオンラインのままなのか、オフラインで待っているのか。自分と周りはオンのままですが、全体がそうかは分かりません。オンのままなら運営の画面上は供給が十分に見えているはずで、それ自体が鳴らなさの一因になっている可能性があります。

鳴らない時間をどう過ごしているか、よければXで教えてください。ここに出てこなかった避難先があれば、それも知りたいです。

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