導入:また1社消えた。今度はKDDIの発表で知った
8月19日、KDDIが発表した。フードデリバリーの「menu」が9月30日でサービスを終了する。終了だけじゃない。KDDIがレアゾンからmenuの全株式を取得して(8月31日完了予定)、menu株式会社そのものを解散・清算する。会社ごと畳む、いちばん硬い形の撤退だ。
注文できるのは9月30日の20時まで。予約注文は9月23日の20時まで。理由は発表文の言葉を借りると「競争環境の変化」と「今後の持続的なサービス提供が困難」。
立場を先に一行で。俺は地方の副業配達員で、ベースは出前館。menuは——正直に書くと、配達員登録だけして一度も走らなかった。 だからこの記事は、menuの中で稼いでいた人の記事じゃない。外から番号だけ持ってた側の観測だ。ちなみに発表当夜のXには、俺とまったく同じ「登録したけど一度も配達しなかったな」という配達員の投稿があった。俺と同じ番号だけの登録者、少なくとも他にもおったわけだ。
事実関係:撤退はこれで4社目
日本のフードデリバリーから消えたサービスを並べる。
- foodpanda——2022年1月
- DiDi Food——2022年5月
- Wolt——2026年3月
- menu——2026年9月30日(予定)
残るのは Uber Eats・出前館・Rocket Now の3社。コロナ期に乱立した市場が、4年かけて三つ巴まで煮詰まった。
menuはKDDIが出資してau経済圏(Pontaポイント)と組んでいたサービスだ。その親会社が「経営資源の最適配分」を理由に畳む——ポイント経済圏の看板があっても、この市場の体力勝負は支えきれなかった、という事実だけがまず残る。
発表当夜のX:悲鳴はあった。でも一番の観測は「静かさ」だった
発表当夜、Xの配達員界隈を追った。出ていた声を要約すると、こんな並びだ。
- 単価が安くて案件も少なかった、という振り返り
- menuが消えたことより「残りの会社もいつか撤退するんじゃないか」という先の不安
- 配達バッグのmenuシールを剥がすかどうか、という生活の話
シールの話が一番刺さった。制度や市場の話は評論家でも書ける。バッグのシールをどうするかは、走ってた人間にしか出てこない——一度も走らなかった俺には、出てこない発想だった。
一方で、出てこなかった声が2つある。ここが今夜の本題だ。
1つ目、加盟店の声が——少なくとも俺が追えた範囲では——ほぼ無い。配達員と注文者は騒いだのに、店の声が観測できなかった。
2つ目、残った3社が、少なくとも当夜は完全に静かだった。発表から数時間、Uber Eatsも出前館もRocket Nowも、公式はmenu撤退に触れる動きゼロ。乗り換え歓迎キャンペーンも、配達員向けの勧誘も、当夜のうちは何も出ていない(Rocket Nowの公式は通常のキャンペーン投稿をしていただけだ)。
この静けさが「様子見」なのか「まだ」なのか——それを言い当てるのが、後半の予測の仕事だ。
ここからは俺の解釈:受け皿の話じゃなくて、「分散が消える」話
menuの配達員がどこへ移るか——という「受け皿」の枠で語られがちだが、俺の実感は少し違う。フーデリの配達員でmenu一本の専業は、たぶん少数派だ。多くは Uber や出前館との掛け持ちで、menuは「鳴らない時間の埋め草」の1枚だった。
だとすると9月30日に起きるのは大移動じゃない。掛け持ちの選択肢が1枚減って、全員が同じ残り3社のピーク帯に押し込まれる、という静かな変化だ。選択肢が減るとき、値札の交渉力は会社側に寄る。これは俺の解釈で、当たってるかどうかはこの秋の単価とクエストの動きが教えてくれる。
もうひとつ。同じ8月に、Uber Eatsは規約改定(8月24日発効)で置き配完了・現金未回収の処理・裁判管轄の東京集中を進めている。撤退と守備固めが同じ月に並んだのは偶然だと思うが、業界が「拡大期の攻め」から「収縮期の締め」へ入ったという文脈では、同じ景色の中にある。この規約改定の中身は別の記事で書いた。
予測:この先どうなるか——ただし俺は予測しない
このシリーズの流儀どおり、このセクションは俺が書いていない。俺の結論を見せていない別のAIに、確認できた事実だけを渡して独立に予測させた。予測は今日の日付でロックして、第2弾(9月末を予定している)で答え合わせをする。
まず、当夜の観測にいちばん直接答えてくる予測から。
「出前館かRocket Nowの少なくとも1社が、9月30日までにmenuの利用者・配達員・加盟店を狙った乗り換え施策を打ち出す」(確率75%)。 発表当夜の静けさは「動かない」じゃなくて「まだ動いてない」だ、という読みだ。面白いのは但し書きで、日本の会社は名指しの引き抜きを避けがちだから、「通常キャンペーンの増額」に紛れる形が本命だと言う。判定基準も先に固定してある——menuの名指しは不要、時期(9/30まで)と対象(menuの利用者・配達員・加盟店を実質的に狙ったもの)で判定する。つまり答え合わせのときは、派手な「menuの皆さんへ」広告じゃなくて、地味なクーポン増額や登録ボーナスの上積みを探すことになる。
残りはこう出た(確率は予測係の主観確率・期日はすべて検証可能な形で切ってある)。
- Rocket Nowが年内にエリア拡大か大型施策を発表する(65%)。競合が2社に減った直後は拡大の教科書的好機。ただし同社は密度優先の戦略だから、拡大より深耕を選ぶ可能性が留保分
- 配達員の基本報酬の恒久的な引き上げは、3社とも年内に起きない(85%)。撤退は配達員の供給過剰を生む方向で、力学は単価下押し——俺が本文で書いた「分散が消える」と、事実だけ渡した予測係が同じ側に着地している。答え合わせのときは、この重なりごと検証する
- 3社体制のまま年を越す(80%)。追加撤退も新規参入も資本再編もなし。予測係いわく最大の割れ目は出前館——長期赤字体質と、親会社の「選択と集中」圧力がこの予測のいちばん弱い場所だと自分で言っている
- Uberの8/24規約改定に対して、配達員団体の公式抗議が10月末までに出る(55%)。ここだけmenuじゃなくて隣の話だが、「menu撤退で『仕事があるだけまし』の空気が抗議エネルギーを削ぐ可能性」という留保が付いてきた——撤退と規約改定を同じ景色として読んでる点で、載せる価値があると思った
予測係は自分の限界も申告してきた。「現状維持側の予測は当たっても情報量が少ない安全球だ」と自分で言っている。あと、当夜の静けさを「各社が動かない」方向に重く見すぎている可能性がある、とも。
「独立に予測させた」が俺の自己申告でしかないのも、いつもどおりだ。せめてもの担保として予測は公開日で固定する。後からこっそり書き換えたら俺の負けだ。

限界の開示
俺はmenuで一度も走っていない。単価や案件の話は当夜のXで拾えた範囲の声で、不満のある人ほど投稿するバイアスがかかっている。加盟店の声が「無い」のも、俺が観測できなかっただけの可能性がある。エリア差も大きいはずだ——俺の地元では、そもそもmenuの看板をほとんど見なかった。それでも当夜のうちに書いたのは、「発表の夜に何が起きて、何が起きなかったか」は今夜しか記録できないからだ。答え合わせは9月末にやる。外れたら、外れたと書く。
※アイキャッチはAI生成イメージ(2.5Dデフォルメ)


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