AGVがサンマリノMotoGPで新型「ピスタGP R3」を発表した。カーボンシェルの下に直径2mmのプラスチック球を1600個以上仕込み、斜め衝突時に外側パネルが分離して回転力を逃がす「Sphera AGV」システムを搭載する。海外発表によれば実験室テストで脳震盪リスクを最大6分の1に抑えられるとしており、日本での発売時期や価格は現時点で不明だが、国内トップブランドの安全思想と比べてどこが新しいのか整理しておきたい。
先週たまたまヘルメットの棚を整理してて、Araiのラベルに書いてある「グラスコンポジット」とかSHOEIの「多層発泡ライナー」みたいな表記をまじまじ見返す機会があったんだけど、正直このへんの技術って毎年少しずつ進化してるのに、パッと見じゃ全然わからないんだよな。そんなタイミングでAGVから出てきたのが今回のニュース。単なるマイナーチェンジじゃなくて、シェル構造そのものにメスを入れてきた話だから、ちゃんと触れておきたい。
1600個の球体が衝撃の瞬間に転がる仕組み
ピスタGPシリーズの大幅刷新は2019年以来とのことで、今回の目玉は「Sphera AGV」と呼ばれる新機構だ。カーボンファイバー製の外側シェルの上に、直径2mmのプラスチック球を1600個以上マトリクス状に接着し、その上からポリカーボネート製の追加シェルで挟み込む構造になっている。走行中の脱落やビビリ音を防ぐために球体は接着されているが、90度以外の斜め方向に強い衝撃が入ると、この外側パネルがあえて剥離し、内部の球体が転がることで頭部にかかる回転方向の力を減らす狙いだという。
AGVの開発責任者マッシモ・ヴァレーゼ氏によれば、前頭部とバイザー両脇のパネルでクラッシュの約75%をカバーし、後頭部はスポイラー自体が転倒時に外れる設計で対応するとのこと。スペインのサラゴサ大学アラゴン工学研究所での試験では、回転衝撃による脳震盪リスクを最大6倍軽減という結果が出ているそうだ。開発期間は約3年、2万8000時間以上を投じたというから、片手間の改良ではなさそうだ。
このRLS(Release Layer System)という技術、もともとはオックスフォード大学発でロンドンの企業が磨き上げたもので、自転車用ヘルメット(Canyon DeflectrやHexr Miden)での実績はあってもバイク用は今回が初適用になる。既存の回転衝撃対策としてはMIPSが有名で、あちらはEPSライナーの内側や周囲にスライド層を仕込む方式。AGVのアプローチは外側シェルそのものを可動させる点で、発想の起点が違うのが面白いところだ。
ArainやSHOEIの回転衝撃対策と何が違うのか
日本のライダーからすると、やっぱり気になるのはAraiやSHOEIとの技術的な立ち位置だろう。Araiは「なるべく転がって衝撃を受け流す」という独自の球状シェル思想を長年掲げてきたブランドで、そもそもシェル形状そのものに回転力を逃がす発想が根付いている。SHOEIも近年はレース向けモデルでライナー構造の多層化を進めていて、いずれも「頭が急に止まらないようにする」という方向性はAGVと共通する。
ただ今回のSphera AGVのように、外側シェルの下に無数の球体を仕込んで衝撃時に意図的にパネルを分離させるという構造は、少なくとも国内主要2ブランドの現行ラインには見当たらないアプローチだ。ソースにある通りFIMのFRHPhe-02規格(レース用の最新回転衝撃基準)にはシステムの有無に関わらず適合するとされているので、あくまで「基準は満たした上でのプラスアルファ」という位置づけになる。
国内での入手性と価格帯はどう見るべきか
日本での発売時期や国内価格については現時点で公式な情報がなく、主Claude側で断定はできない。ピスタGP RRの現行モデルがハイエンドレーシングヘルメットの価格帯にあることを踏まえると、R3も同等以上のプレミアム価格帯になることは想像できるが、具体的な数字は各メーカー公式や輸入代理店の発表を待つのが確実だ。
免許区分やヘルメット規格の話とは別軸で、こういうレーシング指向のフラッグシップは基本的にサーキットユース前提のモデルなので、街乗り用途で選ぶ層にはそもそも刺さりにくい製品ではある。とはいえ技術トレンドとしては、いずれ廉価グレードやツーリングモデルに降りてくる可能性もあるし、MIPS的な回転衝撃対策がすでにAraiやSHOEIのミドルグレードにも波及してきている流れを見ると、数年後には国内メーカーも似た発想の機構を採用してくる可能性は十分ある。
ここだけの話
正直、球体を1600個も仕込むって聞いた瞬間「そんなに要る?」って思ったんだけど、衝突点をカバーする面積を考えると納得できる数字ではある。個人的に気になるのは「わざと外れる」という設計思想。落としただけでは外れないとRLSのアドバイザーも言ってるけど、レース後のヘルメット寿命管理がこれまで以上にシビアになりそうな気配はある。転倒歴のあるヘルメットの扱い方って、ユーザー側の理解がまだ追いついてない部分もあるから、そのあたりの説明がどこまで丁寧にされるかは気になるところ。
あと風切り音対策で快適性パッドまで見直してるっていうのは地味に評価したいポイント。安全性能を上げると空力や快適性が犠牲になりがちだけど、そこを両立させようとしてる姿勢は好感が持てる。
※画像は記事内容に基づくAI生成イメージ(2.5Dデフォルメ)であり、実在の車両・機構とは異なります
この記事はMCNの報道を元に、日本市場の視点から独自に考察・編集したものです。MCN


コメント